電線の許容電流とは?決まる要素や計算の基本式を初心者向けに解説
電線を選ぶときに重要になるのが「許容電流」です。許容電流とは、電線やケーブルに連続して流しても、発熱によって絶縁被覆が傷んだり、火災につながったりしない範囲の最大電流を指します。この記事では許容電流の基本、なぜ必要なのか、どのような条件で変わるのかを順番に解説します。
許容電流をひとことで言うと
許容電流とは、電線が安全に流せる最大の電流です。電線には電気抵抗があるため、電流が流れると少しずつ熱が発生します。流れる電流が大きくなるほど発熱も増え、電線の被覆が劣化したり、周囲の材料を熱してしまったりするおそれがあります。そのため、電線ごとに「ここまでなら安全に使える」という目安が決められています。
許容電流の記載がある主な安全規格
- 国際規格:IEC 60364など
- 国内規格:JCS 0168-1、JIS C 60364など
- 欧州規格:VDE0298など
- 北米規格:NFPA70、NFPA79など
なぜ許容電流が大切なのか
許容電流を超えて電気を流すと、電線が過熱し、絶縁被覆の劣化・短絡・発煙・火災などのリスクが高まります。見た目には問題なくても、制御盤や電線管の中で熱がこもっている場合があります。安全な配線を考えるうえでは、遮断器容量だけでなく、電線の太さ・種類・配線方法に合った許容電流を確認することが重要です。
また、配線の長さによって電圧降下が大きくなる場合があるので注意が必要です。電圧降下とは、電圧源から末端の負荷に向かう途中で電圧が下がる現象を指します。
許容電流を決める5つの主な要素
電線の許容電流は、主に以下の5つの要素によって変化します。
- 導体の太さ:断面積が太いほど抵抗が小さくなり、発熱しにくいため許容電流は大きくなります。
- 材料の耐熱温度:耐熱ビニル、架橋ポリエチレン、ゴムなど、絶縁体の種類によって最高許容温度が異なります。
- 周囲温度:周囲温度が高い場所では電線から熱が逃げにくくなり、許容電流は小さくなります。
- 布設方法:空中布設、電線管内、ダクト内、ケーブルラック上など、放熱条件によって許容電流は変化します。
- 同一管内の電線本数:複数の電線をまとめて収容すると相互に発熱し、放熱が悪くなるため減少係数を考慮します。
許容電流の覚えたい基本式
実際の許容電流は、電線の基本となる許容電流に、布設条件に応じた補正係数を掛けて求めます。考え方は次のようになります。
補正後の許容電流 = 基準の許容電流 × 周囲温度の補正係数 × 電線本数などの補正係数
まとめ
電線の許容電流は、安全な配線設計の基本です。電線の太さだけでなく、材料の耐熱温度・周囲温度・布設方法・同一管内の本数などによって大きく変わります。実際の施工条件に合わせて補正することで、発熱や絶縁劣化、火災リスクを抑えることができます。
配線を計画するときは、「負荷電流」「遮断器容量」「補正後の許容電流」「電圧降下」をセットで確認し、電線選定を行いましょう。

