ワイヤーハーネスとは? 構造や利用シーン、ケーブルアセンブリとの違いを解説
ワイヤーハーネスは、自動車や産業機械など、現代の多くの電子・電気機器に不可欠な配線部品です。装置内部の「神経」や「血管」とも例えられ、電力供給や信号通信を正確に行うための重要な役割を担っています。
この記事では、ワイヤーハーネスの基本的な概要から、その構造、メリット、主な利用シーン、そして混同されやすいケーブルアセンブリとの違いについて分かりやすく解説します。
ワイヤーハーネスとは?
ワイヤーハーネスとは、複数の電線を束ねて一つの配線集合体にした部品で、装置内部の各ユニットへ電力や信号を効率よく分配する役割を持ちます。
単に電線を束ねるだけでなく、多くの場合、末端にはコネクタ加工や端子加工が施され、保護用のチューブ等で覆われています。
自動車や産業機械、工作機械など多くの電気機器を含む装置では、個別の電線を一本ずつ配線すると作業効率が著しく悪く、誤配線やトラブルの原因となります。ワイヤーハーネスは、こうした課題を解決するために用いられます。
主な構成要素
ワイヤーハーネスは、主に以下の部品で構成されています。
- 電線(ケーブル)
電力用、信号用など、用途に応じて様々な種類が使い分けられます。 - 端子
電線と接続先(コネクタや機器)を電気的に繋ぐための金具です。 - コネクタ
電線同士、または電線と機器を容易に着脱できるようにする接続部品です。 - 保護材・結束材
電線を保護し、まとめるための部品です。具体的には、保護チューブ、コルゲートチューブ、テープ、結束バンド(タイラップ)などが使用されます。
ワイヤーハーネスのメリット
ワイヤーハーネスを用いることで、装置の製造時やメンテナンス時に多くのメリットが生まれます。
- 組立作業の効率化・標準化
あらかじめ決められた形に束ねられ、コネクタが取り付けられているため、複雑な配線作業が簡素化されます。これにより、作業時間が大幅に短縮され、作業者による品質のバラツキも抑えられます。 - 誤配線の防止
接続先が決まったコネクタを使用するため、配線ミスを根本的に防ぐことができます。 - 保守・交換の容易性
配線がユニット化されているため、メンテナンスや部品交換の際に、該当するハーネスごと交換でき、作業が容易になります。また、トラブル発生時の原因特定もしやすくなります。 - 省スペース化と整理
複数の電線がコンパクトにまとまるため、装置内部のスペースを有効活用できます。また、配線が整理され、見た目が整うだけでなく、他の部品との干渉や断線を防ぐ効果もあります。
ワイヤーハーネスの主な利用シーン
ワイヤーハーネスは、私たちの身の回りのあらゆる電気・電子機器で使用されています。
- 自動車
最も代表的な利用シーンの一つです。エンジン、ライト、カーナビ、エアコン、ドアの開閉システムなど、車両全体の電装品をまとめて接続するため、車両1台に何百本もの専用ハーネスが組み込まれています。 - 産業機械・工作機械
制御盤と各種センサー、モーター、駆動ユニット等を正確に接続するために使用されます。複雑な装置内部の配線をまとめることで、信頼性とメンテナンス性を高めます。 - その他
家電製品(エアコン、洗濯機など)、医療機器、OA機器、航空宇宙機器など、多数の配線を必要とするほぼ全ての装置で活用されています。
ワイヤーハーネスとケーブルアセンブリの違い
ワイヤーハーネスと似た部品に「ケーブルアセンブリ」があります。両者はしばしば混同されますが、その特徴には以下のような違いがあります。
ワイヤーハーネスの特徴
複数の電線(多くの場合、異なる種類や太さの電線を含む)を組み合わせて束ね、特定の装置内部の配線経路に沿って複雑な形状(分岐など)にまとめ上げたものです。
主に「装置内部」の固定配線に使用され、特定の装置専用に設計された「配線一式」という側面が強いです。
ケーブルアセンブリの特徴
1本または少数のケーブル(シールド付きの多心ケーブルなどが多い)の両端にコネクタを取り付けた、比較的単純な構成の配線部品です。
主に「装置間」の接続や、機器とハーネスを接続する短距離の接続用として使われることが多く、比較的、汎用性のある「接続ケーブル」という側面が強いです。
ポイント
ワイヤーハーネスとケーブルアセンブリは、どちらも装置の信頼性を支える重要な配線部品であり、両者を適切に組み合わせることで装置全体の配線品質と作業効率が高められています。
まとめ:用途に応じた適切な配線部品の選定
ワイヤーハーネスとケーブルアセンブリは、どちらも装置の信頼性を支える重要な配線部品ですが、その構造と主な用途が異なります。
- 装置内部の複雑な配線(専用設計) → ワイヤーハーネス
- 装置間の接続や汎用的な接続 → ケーブルアセンブリ
装置の設計や製造、メンテナンスの効率を大きく左右するため、用途や環境に応じた適切な部品選定が不可欠です。
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