CMケーブルとは?CMRケーブルとCMPケーブルとの違いを解説!

LANケーブルなどの通信ケーブルを選ぶときによく目にする「CMP」「CMR」「CM」「CMX」といった表示。
これらは米国防火協会(NFPA)が作成したNFPA 70(NEC)に基づく通信ケーブルの区分で、リスティングケーブル(Listing Cable)とも呼ばれており、これらの型式はそれぞれ使用環境や耐延焼性能を示しています。つまり、同じLANケーブルでも表記によって「どこで使えるか」が変わるのです。
この記事では「CMP」「CMR」「CM」「CMX」それぞれの違いを分かりやすく解説します。
CMケーブルとは
CMケーブル(CM cable)は、通信ケーブルの中で一般用途に広く使えるタイプです。
主に工場内やオフィス、住宅の一般配線で使われ、ケーブルトレイによる支持も認められています。
ただし、天井裏(プレナム空間)や縦の配線シャフト(ライザー空間)など特に火が広がりやすい空間ではそのままでは使えません。
特徴
- 耐延焼性に優れ、オフィスや工場、住宅などの一般的な配線に使用可能
- ケーブルトレイ(ケーブルをまとめて支持する設備)に収容できる
- 一般的なLANケーブルとしても広く流通
注意点
天井裏のプレナム空間(空調ダクトなど空気が流れる場所)
建物の上下階をつなぐライザー空間(縦配線シャフト)
これらの火が広がりやすい空間では使用できません。
CMRケーブル(ライザーケーブル)との違い
CMRケーブル(Riser cable) は、主に建物の上下階をつなぐライザー空間で使用できるように設計されたケーブルです。耐延焼性がCMケーブルよりもさらに高くなっているCMケーブルの上位にあたる通信ケーブルです。
火災時に火が階段状に上階へ燃え広がらないよう、縦方向の耐延焼性がCMより強化されています。CMケーブルはこうした環境では使えないため、ビルや複数階の建物ではCMRが必要になります。
特徴
- 縦方向の耐延焼性能が強化されており、火災時に火が上階へ広がるのを防止
- ビルや複数階の建物で必須となるケースが多い
- CMケーブルより高性能
ポイント
CMケーブルはライザー空間で使えないため、建物の階をまたぐ配線にはCMRを選ぶ必要があります。
CMPケーブル(プレナムケーブル)との違い
CMPケーブル(Plenum cable) は、天井裏や空調ダクトなどのプレナム空間に対応する最も厳しい規格です。
天井裏や空調ダクトなどの空気の流れる空間(プレナム空間)で使用できる耐延焼性がCMRケーブルよりもさらに高くなっているCM、CMRケーブルの上位にあたる通信ケーブルです。
火災時にも燃えにくく、有毒ガスや煙の発生を最小限に抑えるよう設計されており、最も厳しい耐延焼性基準を満たしています。CM、CMRケーブルが使える場所にはCMPケーブルを使うことも可能ですが、逆はできません。
特徴
- CMRケーブルよりもさらに耐延焼性が高い
- 火災時に有毒ガスや煙の発生を最小限に抑える設計
- 最も厳しい耐延焼性基準を満たす通信ケーブル
ポイント
CMPケーブルは、CMやCMRの用途にも使用可能(上位互換)
逆に、CMPが必要な場所にCMやCMRは使えません。
CMXケーブルとの違い
CMXケーブルは住宅や軽負荷用途向けのケーブルで、耐延焼性能はCMよりも限定的です。屋内の短距離配線や住宅の一般配線などで使用されます。
CMよりも規制が緩い分、使用が許可されている環境も限定的で、ケーブルトレイによる支持も認められていません。
特徴
- 耐延焼性能はCMよりも限定的
- 主に屋内の短距離配線や住宅の一般配線に使用
- ケーブルトレイに収容できない
ポイント
小規模・限定用途に向いており、商業施設やオフィスビルには不向き
まとめ:どのケーブルを選べばいい?
通信ケーブルの「CM」「CMR」「CMP」「CMX」は、すべて使用環境に応じた防火性能の違いを表しています。
- 住宅や一般用途 → CMケーブル / CMXケーブル
- 建物の縦配線(ライザー空間) → CMRケーブル
- 天井裏や空調ダクト(プレナム空間) → CMPケーブル
誤ったケーブルを選ぶと、火災リスクの増大や施工基準違反につながるため、使用場所に応じた正しいケーブル選定が必要です。
日合通信電線では統一規格である国際規格や、それぞれの国に密着した法律、国家規格など数百件にも及ぶ認証を取得しています。そして、そのノウハウをもって様々な国に対する製品開発を行っています。
目的に合ったケーブル選定についてのご提案も行っております。お気軽にご相談ください。